
わたしたちはこれまで20年以上、のべ2万人を超える方々の身体に触れてきました。
その道のりのなかで、理学療法士、看護師、助産師、柔道整復師、鍼灸師、介護士、医師、薬剤師――現場の最前線で人の健康を支えるプロフェッショナルの方々と、数多く出会ってきました。
そうした方々と話していると、共通して耳にする言葉があります。
「もっと相手に合った施術がしたい。でも、目の前の方が本当は何を求めているのか、正解がわからない」
でも、その悩みは知識や経験が足りないから生まれるものではありません。真摯に経験を積み重ね、目の前の相手に寄り添おうとするからこそ感じる、尊い「もどかしさ」なのです。
かつてのわたしたちも、まったく同じ「もどかしさ」のなかにいました。
学べば学ぶほど技術の引き出しは増えていく。でも「どの引き出しを、いま、この人に使うべきか」という判断に迷い続けていました。
「答えは自分たちの頭のなかにあるのではなく、最初から、相手の身体のなかにあった」
その視点が加わるだけで、これまで積み重ねてきた経験や技術が、より鮮やかに、より深く活かされるようになります。
本書を通して、あなたの手が、相手の身体がつい本音を話したくなる「聞く手」へと変わるきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
2026年6月 熊倉達之・利子

1999年、カイロプラクティックの学校で出会い、結婚と同時に施術サロンを開業。のべ2万人以上の施術経験を積み重ねるなかで、同じ技術を用いても人によって結果が異なることに疑問を抱き、「こちらが正解を押しつけるのではなく、相手の体に答えを聞く」という発想に辿り着く。
その後、相手の反応に寄り添いながら、施術者自身も無理をせず、ともにゆるみ合う施術法「リラクセンスボディセラピー」を確立。2012年には「一般社団法人リラクセンスボディセラピー協会」を法人化し、本格的に普及活動を開始する。
東京本部を中心に、北海道から沖縄まで全国各地で講座を開催。また、ドイツ、イタリア、スペイン、ブラジル、オーストラリア、UAE、台湾といった海外にも活動の場を広げ、2018年にはインドネシアのジャカルタ国立大学にて100人以上を前に講演を行う。
これまで少人数制の講座を大切にしながらも、3000人以上のプロ・アマの受講生に伝え、施術者自身が疲弊することなく、相手とともに楽になる施術の技術と在り方を体感型で指導している。
「施術は相手も自分もともに楽になれるもの」という信念のもと、「リラクセンスボディセラピー」を通じて、よりよい循環と、平和な社会の実現を目指し、活動を続けている。